2012年1月22日 (日)

もし劇団が300万の借金と引き換えに解散を迫られたら - 有川浩 「シアター!」「シアター!2」 -

有川浩「シアター!」(メディアワークス文庫2009)、及びその続編である「シアター!2」(同2011)を読んだ。

有川浩は、「図書館戦争」シリーズをはじめとする、売れっ子の作家なのだが、私自身は情けないことに、昨年見た映画「阪急電車」の原作を読んだだけ、なのである。その分、新鮮な気持ちで読むことができた。

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春川巧率いる劇団「シアターフラッグ」は、声優として活躍している羽田千歳を迎え入れてから、運営方針を転換したことによって、団員の半数以上が辞めてしまうという事態に陥る。しかも、それまでボランティアで制作(経理など)の仕事を引き受けていたスタッフも辞めたことにより、そのスタッフが肩代わりしていた、それまで明るみになっていなかった300万円の赤字の返済を急に迫られることになった。巧は、兄である司に泣きつくが、兄は、2年で返済し、返済できなければ劇団を解散することを条件に、300万を無利子で貸す。果たして、「経済感覚」のない劇団員は、本気になって、借金を返済し、劇団を存続させることができるのか。。。。

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司のスタンスは、そのまま有川氏のスタンスだと考える。劇団の経営感覚の無さ、しいては演劇界全体の経済感覚の無さということに対して、司の口を借りて何度も疑問を呈している。「あとがき」を読むと、実在の劇団をモデルに書いているとのことだが、書かれた劇団は、ぐうの音も出ない、と言ったところではないだろうか。

ただ、いくら「金が正義」で、演劇が金にだらしないからといって、演劇を嫌いになれないのは、多分、司も有川氏も同じだろう。司は、なんだかんだ言って、結局、劇団の「危機」を何度も救っている。有川氏も、演劇界の有態に半ば呆れながらも、応援せざるを得ないような心情がわいてきているのだろうと思う。

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作品の印象としては、群像劇として楽しめるものとなっている。「シアター!」では、主に千歳に焦点が当たっていたが、「2」では、劇団員一人一人が生き生きと動きまわっている。劇団の頑張りだけでなく、劇団員同士の恋愛感情(+司と千歳の関係)が具体的に動いてきたところで「2」は終わっているが、「3」ではどんな展開が待っているのだろう。「シアター!」と「2」の出版間隔からして、「3」は来年になりそうだが、早く読んで、結末を知りたいとじりじりとしている。

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2012年1月 9日 (月)

アニメ化希望! - 越谷オサム「いとみち」 -

越谷オサム著「いとみち」(新潮社2011/初出「新潮ケータイ文庫DX」2010~2011)を読んだ。

この作家のことは全く知らなかったが、昨年の11月に、書店でたまたま手に取った「陽だまりの彼女」(売れているらしい)を読んで、そのどうにも言えぬ「くすぐったさ」と語り口の軽やかさが気に入り、別の作品を探していた時に見付けた本だ。

そして不純だが、帯にあった次の文句が購入の決め手になった。

「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」

訛ってはいるが、言うまでもなく「メイド喫茶」の決まり文句である。

初めに断っておくが、私は「読書家」でもないので、「書評」じみたことは書けない。この本について取り上げているブログはいくらでもあるので、気になる方は検索してそれらを読んでいただくことをお奨めする。

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さて、本題に戻ろう。もう、いや、とにかく主人公の「いと」が「めごい」。それがすべてと言っても良い。

背がちっちゃくて、訛り(津軽弁)のコンプレックスから、極度の人見知りと泣き虫、不器用でドジっ娘、なんて設定は、反則的である。

そんないとちゃん(そう呼びたくなる)が、人見知りを治そうと、青森市にあるメイド喫茶でアルバイトを始める。しかし、その「萌え設定」が災いして、なかなかお店になじめない。とにかくおばあちゃん譲りの津軽弁によって、メイド喫茶の常套句である「お帰りなさいませ、ご主人様」の挨拶すら、満足に言うことができない。

いとちゃんには、津軽三味線の心得がある。しかし、脚を思いっきり開いて演奏する自分の姿が恥ずかしくて、一年前にやめてしまった。物語の縦糸は、こうしたいとちゃんの思春期特有の「コンプレックス」を克服していく過程である。

思春期の真っ最中は、こうしたコンプレックスは自分にしかない、と思いがち。でも、先輩メイド二人、店長、そしてお客も、いろいろなコンプレックスがあるのだ、ということをいとちゃんは知っていく。そこから、いとちゃんの「進化」は劇的に始まっていくのだ。

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・・・いろいろ書きたいことがあるのに、上手くまとまらない。ごめんなさい。

よく、人は変わりたいと思った時にはもう変わり始めているのだ、いつでも人はスタートし直せるのだということを聞く。いとちゃんは、メイド喫茶でアルバイトを始めた時点で変わっていたのである。私は実はそういう考え方が非常に苦手なのであるが、この物語はそうしたことがテーマではあっても、説教くさいことは一切なく、素直にいとちゃんの成長物語として楽しむことができた。

また、「家族」が一つの大きなテーマだ。いとちゃんは、母親を小さい頃に亡くしているが、自分のコンプレックスだった背の小ささと、脚を大きく開く三味線の演奏スタイルが母親譲りだったことを知って、ずっと強くなっていく。物語の終盤での「トラブル」も、家族の支えがあって乗り越えることができた。なかなかなじめなかったお店も、いつしか、「家族」のように思えるようになった。

そして、「陽だまりの彼女」でも感じた「くすぐったさ」がこの物語にもあった。思春期特有の「コンプレックス」と、その裏返しである「自意識過剰」な心理描写が良く書けていて、それがそう思わせるのかもしれない。

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こんなに「めごい」いとちゃんのお話は、アニメの好きな御仁には、絶対ヒットすると思う。お奨めである。そして、これを映像で見てみたい。実写もいいが、アニメがいちばん雰囲気を伝えられていいと思う。但し連続アニメは、話の展開上、結構難しいと思われるので、単発のOVAか映画がいちばんふさわしい。

津軽弁が難しいかもしれないが、別に本職の声優である必要はない。単に青森出身の「素人」の女の子の方が、いとちゃんの「初々しさ」にはいちばんフィットするように思える。おばあちゃんの津軽弁は、記号で書かれるほど聴きとりにくい、という設定だが、声優の選定にあたっては、そこまで訛りを強くする必要は必ずしもないと思う。

とにかく、アニメ化なってほしい、と強く思っている次第である。

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謹賀新年

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かなり遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。

昨年は震災など、悲惨な出来事が多かったので、今年は平穏な一年になることを祈念しています。

このブログは、昨年、更新がかなり滞ってしまった。復職してから、規則正しい生活(早寝・早起き)を心がけているので書く時間があまりないのと、どうも震災後、何をしても心に響くことが少なくなったし、書こうというモチベーションがわきあがってこないからだ。復職後、まあ、細かいことはいろいろあるが、それでもなんとか心の平穏は保ってきていると思うが、それが逆に「抑圧」になっているのかもしれない。

昨年書いた記事は少ないうえに、情けないことに「プリキュア」ばかり。しかも、その唯一のネタである「プリキュア」も、珍しく毎週見ているくせに、どうもあまり心に響いてこなくて、余計に更新が滞る原因になった。

さて、明けた2012年。私は基本的に「目標」というものを立てるのが苦手(嫌い)な人間であるが、強いてあげるとすれば、とにかく「平穏」である。昨年もそう言っていたが、震災で前提が崩れてしまったので、今年こそ落ち着いて物事に当たりたい。

それと、本を読もうと思う。昨年、「神様のカルテ」にはまって以来、あまり重いテーマのものは負担が大きいので、軽い読み口の、かといって「ライトノベル」ではない程度の小説を探しては読んでいる。この習慣を続けたい。

また、昨年全くできなかった「短歌」を再開したい。もともと下手くそな上に、ブランクが開いてしまったので、言葉のリズムを取り戻すことから始めたい。

ずっと言っていることだが、とにかく「感性」を高めたい。美しいもの、楽しいものに素直に感動し、その感動を人と分けあえる人間になっていきたい。

更新は多分今年もあまりたくさんはできないだろう。それでも、数少ないこのブログの読者の方々、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2011年11月13日 (日)

「勝田車両センター50周年ふれあいまつり」に行ってきた

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昨日のことになるが、「勝田車両センター50周年ふれあいまつり」に行ってきた。

開場が10時ということで、しかも勝田駅から徒歩20分と結構距離があるので、早めに出かけて、9時10分過ぎくらいには到着できたのだが、すでに長い列が。その列が10時になる頃には、もう後ろが見えなくなるくらい長いものになっていた。

開場して真っ先に向かったのが、E653系。運転台で撮影会をしているのだ。Pb120026


まあ、自分の写真はどうでもいいのだが、運転台が見たかったので、企画が発表された時は楽しみにしていた。

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まあ、一応、ドヤ顔して映っているのが私。ただ希望者がやはり多いので時間が短く、じっくり運転台を眺めることができなかったが、運転台はこんな感じ。

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「使用禁止」は何か非常時のものか。ワンハンドルマスコンは、一昔前のオートマチック車のシフトレバーのようで、結構小さいのに驚いた。

Pb120025運転台からの視界はこんな感じ。視界がこんなに高くて、死角が大きいので、何か進路に支障があった場合は、相当手前で気がつかなければ、間に合わない。運転士はかなりの緊張を強いられると思う。

E653Pb120027_3系の後ろには、485系改造お座敷列車「ゆう」があり、休憩所として開放されていた。

そのあとは、常磐線の誇る特急車両が一堂に会しているところを撮影しまくった。一昔以上前の2.2メガピクセルのO社デジカメなので、画像は荒いかもしれないが、こんな感じで、恰好よく、子どものように心がはしゃいだ。

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Pb120070_2来年春にデビュー予定の新型特急車両E657系。結構精悍なマスクで恰好いいと思う。デビューが楽しみである。

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ちなみに、写真が撮れる場所は、普段は構内通路であるところで、非常に狭い。人が多くて撮るのも大変だった。離れたところで撮ると、こんな感じ。これでもかなり人がはけた後だった。

そのほか、車両センターの歴史などを展示する写真展なども開催されていた。広い構内を隅から隅まで歩いた。結局、閉場時間まで会場にとどまった。気分が高揚してとても楽しいイベントだった。

家族連れが多くて、小さな子どもたちがはしゃいでいるのがとても微笑ましかった。子どもはみんな「でんしゃ」が好きなのだ。大変かもしれないが、鉄道会社は、将来の「お客様」のためにこうしたイベントを積極的にやるべきだと思う。

Pb120088ところで、特急車両展示のすぐ隣では、普段の業務を行っている。入出区する電車や清掃作業中の車両も見ることができた。この写真ではたまたま特急車両だけだが、いちばん左の651系には泣けた。

Pb120092前面のLEDは「スーパーひたち39号」、行先は「仙台行き」を表示していたのである。確かに39号は仙台行きだった。しかし先の震災で、常磐線は途切れてしまった。この表示は、車両センターの人の「サービス」だったのだろうか。そうだったとしても、常磐線はいつ復旧できるのか分からない状況であり、また復旧したとしても新型E657系のデビューで「仙台行き」はなくなってしまう。この車両が「仙台にもう一度行きたい」と言っているようで、何か切なくなってしまった。

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2011年11月 6日 (日)

いまさら映画「フレッシュプリキュア!」

今朝は駅伝というものがあったため、スイプリが中止だった。明日は明日でイカちゃんが中止。この1週間、何を楽しみに生きていけばいいのかと、気分がどよんどだったが、思ってもみない救世主が!

この10月からBSのチャンネルが増えたが、通常は有料放送である「ANIMAX」で、映画「フレッシュプリキュア!」をやっていたのである。朝起きられなかったので、録画してあったのを先ほど見終わったばかりだ。

2年前の映画である。公開されていた時は、観に行かなかった。というより、TVのフレプリ自体、あまりしっかり見ていなかった。今では当たり前になったエンディングのダンスの3DCGが、どうしても好きになれなかったからである。

ところで、映画を見て、よく言われているように、改めてフレプリは「ストーリー重視」であることが良く分かった。また、「パッション」こと、「せつな」が良い。元々敵幹部であった、という難しい立場を演じるにあたって、普段は洋画の吹き替えやナレーションで活躍されている声優さんを使ったことが、声のトーン等も含めて、ストーリーをギュッと引き締めている。

映画のストーリーであるが、正直、私は心が痛い。子どもたちから見捨てられたおもちゃたちの怨念が、「トイマジン」となって、世界からおもちゃを消して復讐するというお話。

私自身は、子ども時代はそれほどおもちゃを買ってもらったことはないが、大人になってから「お人形」にはまってしまうという、通常では逆の経験をしている。10数年前からのことだ。

初めは一人一人「愛情」を注いでいたつもりでいたが、次第に、寂しさと、それ以上に物欲にかまけて、自分が対処できないくらいの人形を買い集めた。その数、約100人。3年前に引っ越しをする頃になって、その「処理」に頭を痛めるくらいになってしまった。

昨年、ほぼ無条件で引き取ってくれるボランティアグループに、70人くらい寄贈した。新しいお友達に出会えて、可愛がってもらえることを願っている。

なんか、映画の話とはずれてしまったが、そんな自分と重ねずにはいられなかった。まだ手元にある30人も含めて、私のことを相当恨んでいるのではないか、と思ったり。

映画の感想に戻ろう。

買ってもらってもすぐに壊してしまったり、捨ててしまったりするのはともかく、どんなに大切にしていたおもちゃであっても、いつか「卒業」する時が来る。その辺りをどう「昇華」するか、スタッフも相当悩んだに違いない。映画では、ピーチが「キュアエンジェル」になって、おもちゃたちの心を癒すという形で決着させたが、少し物足りなさは残った。

ただ、どうしてもひねくれた味方をしてしまう自分が。。。 プリキュアシリーズのスポンサーは「バ○ダイ」である。一つのシリーズが終わってしまえば、見向きもされなくなってしまうおもちゃを大量に作っているのは、スポンサー自身ではないかと考えてしまうのである。

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2011年10月30日 (日)

映画「スイートプリキュア♪~とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪」ショートショートインプレッション

はい、朝早起きして電車に乗って見に行きました、映画「スイートプリキュア♪」。朝一の回だったこともあるのか(TV放送を見ていると間に合わない)、お客は全部で30人くらい。そのうち、「大きなお友達」は私を含めて3人くらいでした。

ストーリーですが、いろいろ書くとネタばれになってしまうので、あまり書けませんが、先週の第36話と今後の展開をつなぐためのお話だと考えて下されば結構です。ですから、TVの話が進んでいない時点で映画のアフレコを行った声優の皆さんは、展開がよく読めない状況で大変だったと思います。

一言で印象を言えば、主役の4人よりも、すっかり「良い人」になってしまったメフィストが目立ちまくっていました。第36話で明らかになった「ロイヤルファミリー」の相関図から、当たり前と言えば当たり前なのですが、音吉さんのことを「お義父(とう)さん」と呼んでいることが、「婿殿」の「悲哀」をどことなく感じさせます。まあ、それ以前に散々悪いことをしてきたのですから、頭が上がらないのは当然でしょう。それに、このメフィストとアコちゃんの関係が、物語のクライマックスで重要なカギとなるのです。

その奥さんであるアフロディテが今回は「悪役」に回っています(理由は書けませんが)。「メイジャー3(スリー)」というイケメン3人組にうつつを抜かしたためにこんな事態になったように思えましたが。。。(これ以上言えません) とにかく、この「メイジャーランド」のロイヤルファミリーは、非常に「人間くさくて」(厳密には人間ではないですが)、普通の家族以上にいろいろと問題が起こり、姫君であるアコちゃんも大変だな、と思います。

「めでたしめでたし」で物語が終わった後は、TVではまだ公開していない、ミューズが加わった「#キボウレインボウ#」のダンスでした。客席の小さなお友達も一緒に踊ろう、という趣向です。ミューズが出てくるので、ハミィは「お役御免」かと思いましたが、そんなことはありませんでした。

小さなお友達には分かりやすいお話だったと思います。ただ、大きなお友達から言わせてもらえば、昨年の「ハートキャッチ」の時も感じましたが、TVアニメとは直接関連のない「完全オリジナルストーリー」というのは、やっぱり難しいのでしょうか。そこが残念と言えば残念です。

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2011年10月23日 (日)

「スイートプリキュア♪」第36話 ショートショートインプレッション

金曜日の夜に、みっともなく酔いつぶれて、みごとな醜態をさらし、昨日は体調不良でずっと寝ていました。今回はそんな自己嫌悪でまみれた私の心を洗い流してくれるような、胸熱な展開を見せてくれました。

先週、アコちゃんがキュアミューズであり、メフィストが父親であることが分かった衝撃の展開から一週間。私を含めた大方のファンが予想していた通り、メフィストとアフロディテは「夫婦」でした。Aパートの大半をアコちゃんの述懐で、この壮大な「夫婦喧嘩」のきっかけなどが、語られます。途中響と奏が、音吉さん、メフィスト、アフロディテ(音吉さんの娘)、アコちゃんの関係を図解してくれましたが、そうでもしない限り、こんな重要な「伏線」を小さなお友達が理解できるわけがありません。

メフィストは、自分の娘がミューズとして現れたことによって、悪と善の間で苦しみ悶えます。先の長い述懐の中に効果的にその様子が挟み込まれ、よい演出になっています。すると耳のヘッドフォンから、これまでにない強いノイズが発生し、巨大化したうえ、地上に降臨してきました。それもミューズに強い憎しみを持って。

アコちゃんはそんな父親の姿を見て、大きく動揺し、変身して戦う勇気が持てません。代わりにメロディたち3人が戦いを挑みますが、その圧倒的な力の前に手も足も出ません。

そんな時にアフロディテも地上に降りてきて、メフィストを叱責し正気を取り戻させようとしますが、全く焼け石に水。そんな夫婦喧嘩を見ていられなくなったアコちゃんは、変身します。変身シーンは、非常に可愛らしいものです。小さなお友達に年齢の近いアコちゃんの変身は、小さいなお友達たちに憧れを抱かせるものになるでしょう。

ミューズはメフィストの攻撃を華麗にかわし、顔面に正拳突きを喰らわそうとしますが、寸止めしてしまいます。どうしても「パパ」を攻撃できないいじらしさが、感動を誘います。

「パパの目を見ると、どうしたらよいか分からなくなるの。みんなに私の気持ちなんか分からない」、とても子供らしい純粋な思いです。今まで一人で頑張ってきた強がりもあります。

その思いにメロディは「私はミューズでないから、確かに分からない。でもミューズの心を知りたい。だからミューズの心に叫んでいるの」と。喧嘩することもあるが、それは相手の心を知りたいから、とメロディも応じます。10話にも及ぶ響と奏の喧嘩の意味はここにあったのか。それにしても、ちょっと冗長過ぎたと思います。

ビートも、ミューズ(姫様)の心をメフィスト(パパ)の心に届けるよう諭します。それに勇気づけられたミューズは、「私のパパに戻って」とメフィストの胸を今度はきちんと突きます。

メフィストは「アコを見つけ」、耳のヘッドフォンが外れて、ようやく正気に戻りました。セイレーン(エレン)の時にはなかなか外れなかったヘッドフォンも、「家族愛」という究極な愛の前には、脆かったようです。

そんな修復された家族の様子を見ていた、トリオTHEマイナー。今度は、今までいちばん気弱だったファルセットが「ボス」となりました。ただ、本当のラスボスの名前が明かされました。「ノイズ」だそうです。

いままでのプリキュアシリーズは、確かに「家族愛」がベースになっているものでしたが、それはあくまで「前提」でした。一部の例外を除いて「はじめからあるもの」でした。今シリーズは、一度大きく壊れた家族愛を「取り戻す」ことが、隠された大きなテーマだったことが、今回で分かったことになります。

さて、あと1クール。プリキュアの「愛」とは何なのか、ますます目が離せなくなってきました。

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2011年10月16日 (日)

「スイートプリキュア♪」第35話 ショートショートインプレッション

先週、メロディたちの必殺技から、ミューズがメフィストを身を挺して守った衝撃のラストから一週間。お話がだんだん佳境に差し掛かってきました。

メロディたちは、自身をネガトーン化したメフィストとの戦いの中で、ビートの経験談から、メフィストも誰かに操られていることに気がつきます。大事なのは、メフィストを倒すことではなく、メフィストを「悪の心」から守ることだと確信した時、どうすべきかずっと迷っていて戦闘を見守っていたミューズが正体を現しました。

ミューズの正体は「アコちゃん」でした。しかも、メフィストのことを「パパ!」と呼びます。

・・・ここまでは、先週のお話から、大方のファンが予想していたことでした。但し、まだいろいろと疑問が残っています。

メフィストがアコちゃんの父親なら、母親はいったい誰なのでしょう。

物語の冒頭、アフロディテが人間界へ向かおうとするところを音吉さんが止めます。音吉さんはやはりただものではなかった、ということ以上に、アフロディテの「これ以上あの子(ミューズ)を悩ませるわけには(いけない)」というセリフが気になります。ということは、ミューズの正体を知っていた、ということになります。

ただ、確か以前、ミューズのことは知らない、と言っていたと思いますが、設定はシーズン中にいくらでも変わるし、音吉さんがメイジャーランドと自由に行き来できるということになれば、音吉さんから何かを伝えられていた可能性があります。

・・・などと考えると、アフロディテが母親である、という気がします。

私がこのスイプリが始まって、今までいちばん違和感を感じていたのが、「長調(メイジャー)=善」で「短調(マイナー)=悪」という二分法でした。短調の音楽にも名曲は多いわけですし、音楽の調に善し悪しなんてあるわけがないからです。

ただ、小さいお友達が分かりやすいように、「無理に」善悪を分けているだけなのだろう、と最近は思うようになってきました。

しかし、ことここに来ると、第一話を見て私が感じていたように(こちら参照)、メフィストとアフロディテは元々仲が悪くはなかった、もっと言えば「夫婦」だった、そしてその娘がアコちゃんだ、と考えます。

国も元々「メイジャーランド」と「マイナーランド」と分かれてはおらず、一つの音楽の国だったに違いありません。

しかし、メフィストが何者(何物)かに操られて悪の心に染まってしまったがために、「離婚」に至ってしまったのかもしれません。音吉さんはメフィストかアフロディテの「親族」で、「離婚」してしまった夫婦に代わって、アコちゃんを預かっている、と考えるとどうでしょうか?

このスイプリでは、メロディこと響の母親は、海外を飛び回っていてほとんど家にいません。プリキュアシリーズで両親の存在が希薄だったのは、第一シリーズの「ほのか」くらいで、大体は理想の家族像を描いています。

今回のスイプリでシリーズ構成を務める大野氏は、NHKの「中学生日記」を手掛けていた人です。現在の「中学生日記」は、現代の家庭事情もかなり取り入れられたお話が多くなっていると聞きます。離婚率の高さ、「シングルマザー(ファーザー)」など、現代の「家族」の姿と、それが抱える問題を、スイプリにも取り入れようとしているのかもしれません。

ともかく、初めの方の10話くらいが嘘のように俄然面白くなってきました。メフィストが本当の悪ではないとすれば、「ラスボス」はいったい誰なのでしょうか。

・・・それにしても、バ○ダイさんよ。これから番組が始まる、という時にネタばれ(今度の映画で登場する「黄色い人」がただの「ゲストキャラ」ではなかったこと)するようなCMを流すのは、いい加減やめてくれなイカ?

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