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2009年6月16日 (火)

当年とって御歳90のヴァイタリティ・・・

先週末に東京に出かけた。結果的に相当な出費となって、かなり財政が危機的状況だが、私には「東京分」が必要らしい。だから、昨年末から今年の4月頃まで行けなかったときは、相当フラストレーションがたまっていた。普段、会社-アパート間の往復の繰り返しで、しかも家事に追われて、他に全く「お楽しみ」のない私にとっては、月に1度くらいの「贅沢」は仕方がないと、ある意味諦めている。

目的は、おなじみの友人S君と、東京・根津の東大近傍にある「弥生美術館」に行って「やなせたかし展」を鑑賞すること。私の数少ない好きなTV番組の一つである「日曜美術館」で紹介されたのを見て、やなせのファンであるS君を誘ったのである。

「やなせたかし」と言えば、誰が何と言おうと、「アンパンマン」である。私もそれくらいの認識しかなかった。また、アンパンマン映画の封切り日の舞台あいさつなどで、観客の前に出ると、いつも即興の「変な歌」を歌う「変なおじいさん」という、まったくもって失礼な印象しかなかった。

しかし、今回の展覧会を鑑賞して驚いた。ほとんど「アンパンマンがいない」。もし、ここを読んでいる奇特な方の中に、アンパンマンが大好きなお子さんをお持ちのお母さんがいらっしゃったら、お子さんはがっかりしてしまうこと請け合いなので、行かないほうが良い(笑)。

S君は「詩とメルヘン」という、サンリオが30年にわたって出版していた雑誌(現在は休刊)の愛読者であり、やなせがその編集者であって、彼が「アンパンマン」だけでない人であることは知っていた。その雑誌名が示すとおり、彼は「詩人」でもあるのだ。私たちが幼児の頃に習って、誰でも知っている「てのひらを太陽に」は彼の作詞であることを知っている人は、少ないだろう(私もこれを機会に知った)。今回の展覧会のテーマは、やなせのそうした面を紹介することに主眼が置かれている。

展覧会にて得た知識の受け売りを披露すると(笑)、彼は「漫画家」でありたかったらしい。今のアンパンマンを知っている人は、たぶん何の事だか分からないと思う。だが、いわゆる「ヒット作」には恵まれず、彼の代名詞となる「アンパンマン」がヒットするのは、ほんの30年前くらいのことで、もうすでに還暦を迎えるくらいの頃という、非常に「遅咲き」の漫画家なのである。

彼は、その長い「雌伏」の間に、いろいろな仕事をする。もちろん、漫画の仕事もあったが、それよりもTV番組の司会、映画評論、詩集、手塚治虫のアニメ映画のキャラクターデザインなどなど。ただ、彼自身は自分の「方向性」に常に悩んでいたという。

そんな中で、自費出版した詩集が、のちの「サンリオ」の社長の目にとまり、「詩とメルヘン」につながっていく。こういう雑誌は売れないとの前評判が一転して、実に30年にわたって刊行された。ここから何人もの詩人やグラフィックデザイナーなどが生まれていった。

その表紙はやなせが手掛けているが、どの原画も素晴らしいものだった。今であれば、透き通るような、それこそメルヘンチックな「色」は、パソコンのデジタル処理でどんなにでも出せる(もちろん、絵心は不可欠の条件だが)。しかし、当時はそんなものはない。手書きであればこそ、デジタルに慣れてしまってもう忘れかけてしまっている私たちに、「ノスタルジック」で「リリカル」な感情を呼び起こさせる。

ただ、それ以上に感動したのは、やなせの「総合芸術プロデューサー」である面だ。ただし、彼自身がいわば「器用貧乏」でどれも「一流ではない」ということが、逆に「詩」や「絵画」を、一部の「教養人」だけのための「鑑賞物」とさせずに、一般の人でも分かりやすいところに降ろすことに成功させた。彼自身はそれを「詩やイラストはもっと通俗性のあるもので良い」と言っている。どこか、柳宗悦の「民芸運動」(日用品の中に美を見出す)ところに通じるものがある。こういうことを考えると、「てのひらを太陽に」は、やはり「やなせたかし」なのだ。

やはり受け売りで書くものではないね(汗)。しかし、かなり見ごたえのある展覧会だった。6月28日までなので、興味のある方はぜひどうぞ。

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