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2009年10月11日 (日)

「チャレンジド」

MOKA☆さんが、昨日から始まったNHK土曜夜9時からのドラマ「チャレンジド」に楽曲を提供している。病気によって失明した教師の奮闘を描くドラマである。

私はドラマそのものをあまり見ないし(見られる時間もない)、生来のひねくれ者であるので、正直なところ、こういった「社会派」な「感動モノ」は少々苦手だ。しかし、今までMOKA☆さんが音楽を提供したドラマをほとんど見る機会がなかったので、見てみることにした。

盲目の教師を採用することで紛糾する職員会議、冷たい同僚、生徒のパニック障害による過呼吸発作などのシーンでは、やはり私はいてもたってもいられなくなってしまう。ドラマの中の「作りごと」とは言え、辛い現実から目をそむけたくなる自分の悪い癖だ。

そうした辛い状況を救ってくれるのが、主人公を支える、底抜けに明るくポジティブな妻。「ポジティブ」とか「前向き」とかいう言葉が嫌いな私には、ちょっと信じられないところもあるが、こういう思考性向は、後から変われるものではなく、生まれついてのものだと思う。

そうしたこともあって、約一時間視聴できた。主人公がパニック障害の生徒と向き合うことによって、自分が「頑張りすぎていた」ことに気づき、同僚に助けを求めるシーン、それをわきから見ていたその生徒が、それを見て勇気づけられるシーンでは、涙が溢れて仕方がなかった。あと4回も、たぶん、目をそらしたくなるようなことがたくさん起こるだろうが、見ていきたいと思う。

ところで、ドラマは確かに「お約束」で、現実はこんなものではないと思う。今まで見えていた目が突然見えなくなるという恐怖は、計り知れない。ほかの障害でも同じだ。

今、「障害」と書いたが、元々は「障碍」と書いていた。この「碍」という字は当用漢字にも常用漢字にもない字であったため、こう書き換えられたのだ。電気の絶縁に用いられる「ガイシ」も、漢字で書くと「碍子」になる。「障」も「碍」も「さえぎる」「さしつかえる」といった意味で、「しょうがい」は「害」であるわけではないので、もう一度こちらに書き換えるか、あるいは仮名交じりで「障がい」としようとする動きもある。

「チャレンジド」は英語で書くと「challenged」。ドラマの終盤で英語教師が「神様から試練を与えられた」という意味で、最近は障害(一般的な表記をすることをご容赦願いたい)を持つ方を指すと主人公に教えていた。英語でも曲折があって、元々は「disabled」(= not able)だったものが、いわゆる「ハンデ」の「handicapped」に変わり、「challenged」になったようだ。

しかし、腑に落ちないところがある。不幸にして障害を抱えることになった人たちは、自分たちが好き好んで「神様の試練を受けた」わけではない。おそらく「challenged」という言葉は、障害のある方たちが自分たちを鼓舞するために使いだした言葉なのではないかと思うのだ。だから、障害のない人たちがこの言葉を使うのは、私には非常に不自然のように思う。かように、日本語でも英語でも、言葉の裏にはいろいろな「苦悩」がある。ただ、単に言葉の言いかえだけで、障害を持つ方を巡る問題が解決したような気になってはいけないのは、言うまでもない。

話を音楽に戻そう。

提供されているMOKA☆さんの音楽は「主張」しない。登場人物たちが演じる人間ドラマを全く邪魔しない。そうかといって、どこか耳に残って、そして確かに登場人物たちに優しく寄り添う感じがする。音楽ばかりやたら耳に付く番組が多い中、非常に稀有だと思う。MOKA☆さんの音楽の大きな特徴である「コーラス曲」は、今回もちゃんと存在した。たぶん、多重録音によるものだと思うが、讃美歌のような美しさがある。

MOKA☆さんのブログを読ませていただいていると、このサントラを作っている間に、恐らく相当な「苦悩」があったに違いないと思われる。しかも、サントラは全曲合わせて約1時間にもなるそうだ。ドラマは5話までしかない。たぶん、その数秒ずつしか使われないと思う。

以前にも「しにがみのバラッド。」という6話しかないアニメに、約30曲も作っていた。このサントラは私の愛聴盤ではあるが、今回のサントラといい、その「けた外れ」な創造力は、本当に尊敬に値する。

MOKA☆さん、お疲れ様でした。MOKA☆さんは十分頑張っているのですから、塙先生のように頑張りすぎないで、もう少しご自分を労わってあげて下さいね。

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