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2010年6月 9日 (水)

常用漢字表改定案のその後

 この字について、以前ここで取り上げたことがあったが、昨日、常用漢字表改定の答申案がまとまって、新聞発表になった。「一点しんにょう」か「二点しんにょう」かについてはどちらでもよく、教育現場(教科書出版会社)では、一点しんにょうにそろえられそうだという。

ではなぜ、冒頭の字がパソコンやOSによって「一点」になったり「二点」になったりするのかというのは、新聞によると、常用漢字表の「表外字」について、10年ほど前に「JIS漢字表」が改訂されたためだ。そして今回、追加された字の字体(つまり今までの表外字)は、この改訂されたJIS漢字表が元になっているのだという。

しかし問題は、「しんにょう」や「しょくへん」の違いだけではない。どうもマスコミや、しいては文科省は気がつかないふりをしているように思える。

しんにょうやしょくへんそのものは、どちらで書いても日常生活では「互換性」があると思う。しかし、特に「へん」以外の部分において、他の漢字との共通性と一貫性が非常に曖昧になってしまった。

*これから先はいちいち文字を「ペイント」で書いて、「画像」として貼り付けないといけない。めんどくさい。

例1:Choku_2 (「進ちょく」の「ちょく」)

これは「歩」・「渉」と矛盾する。これら3つの旧字体は、「ノ」の上の点はなかったので、今回この字で旧字体が復活したのであるが、「歩」は小学校で学習する字だ。「進ちょく」の「ちょく」だけ点がなく、あとは点があると教えるのだろうか?

これに似た例は、「弱」と「Deki」、「者」と「Kake」、「勤」と「Kin」、「前」と「Sen」などたくさんある。

例2:Ten (「補てん」の「てん」)

これは先ほどと同じように「真」や「慎」などと矛盾する。また、やっかいなことに、いくらJIS漢字とはいえ、デファクトスタンダードであるWindowsでは「環境依存文字」となっていて、「(常用漢字表にとっては)正常」に表示されない情報機器の方が多い。「手書きできなくても情報機器で扱える漢字」というのを標榜していることとは、相いれないのではないか。

このような例は、「峡」・「狭」と「Hoppe」、「緑」・「禄」と「Haku」などがある。

例3:Mochi

はい、例の「もち」である。私は詳しくなく申し訳ないのだが、JIS漢字表が取り入れ、改定案にも加えられたこの字体は、本当に「旧字体」なのだろうか?

同じつくりを持つ「併」の旧字体は「Awaseruold」であり、同じ部分を持つ「塀」なども同様だ。ということは、「Mochiold」が正しいのではないのか?

こうしたことは、「えひめ県」の「媛」の右側は「Enmigi_2」でないといけないのではないか、とか、逆に「かつしか」や「かさい」の「Kuzu」の左下は「ヒ」でもいいのではないか、とか、わざわざ改定常用漢字表に県名の漢字を取り入れた(私はその必要はないと思っている)はずなのに、地名の問題が出てくる。

以上(うわーめんどくさかった)は、少し揚げ足取りのようにも思えるが、まずは例1のような学校現場が混乱するような違いをどうするのか、早急に決めた方が良い。特に手書きの場合は、小学校で習う字体に合わせるべきだと私は思う。

ただ、情報機器の場合は、先に改訂してしまったJIS漢字との整合性の問題が残る。こうなってしまっては後に戻れないので、改定漢字表には「字体表」を付属させて、許容の字体を載せるしかないのではないか。

以前にも言ったが、漢字はデザインに非常に優れた文字だ。人名などの固有名詞は除いて、許容の字体をその時その時に合わせて使えるようになれば、表現の幅が広がると思う。

・・・めんどくさい作業をした割には、結論がありません。ごめんなさい。

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