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2015年5月

2015年5月18日 (月)

まったくしょうがないんだから! - 「ハピネスチャージプリキュア!」アフターストーリー4 -

「今日もぴかりが丘はいいお天気~♪ 明日もあさってもいい天気だといいな~♪」

「心の歌」を口ずさむめぐみを先頭に、ひめ、ゆうこ、いおな、誠司の5人と、リボン、ぐらさん、ファンファンの3匹の妖精は、いつもの通学路を学校へと向かう。

すると急にひめが立ち止まった。

「あ、ちょっと先に行ってて」

すると、ポケットからキュアラインを取り出して電話をかけた。そして何度かコールしたのち、電話を切った。

「あ~、また出ない。もうこの時間だとやばやばいよ~!」

「ひめ、どこに電話したの?それにこの時間ならまだ遅刻しないよ」

「まったくしょうがないんだから!ちょっと用事を思い出したから、めぐみ、みんなと一緒に先に学校に行ってて!」

ひめはそう言うやいなや、もと来た道へ踵を返して走り出してしまった。

「ちょっと、用事って何?ひめ、本当に遅刻しちゃうよ!」

「大丈夫!私が足が速いこと知ってるでしょ!」

ひめはあっという間に視界から消えてしまった。

「ひめ、最近こういうことが多いよね。それに通学の途中で用事を思い出すって変だよ」

「うふふ、ひめちゃん、頑張ってるな~♪」

「ゆうゆう、ひめのことなんか知ってるの?」「ゆうこ、ひめのこと何か知ってるの?」「大森、ひめのこと何か知ってるのか?」「ゆうこ、ひめのこと何か知ってるのですの?」「ゆうこ、おひめちゃんのこと何か知ってるのか?」「キュアハニー、キュアプリンセスのこと何か知ってるのか?」

同時に3人と3匹がゆうこに同じことを質問した。

「女の子には一つや二つ秘密があるものなのです♪今日もごはんがおいしくなりそう♪」

「なによ~、ゆうゆう!教えてくれたっていいじゃない」

そんなことを言いながら、ひめを除いた4人と3匹は学校に向かった。

一方、ひめは、息を切らしながら、少し古ぼけたアパートの一室のドアの前にたどり着いた。そして、呼び鈴を押した。しかし、反応はない。何度も押すのだが、反応はなかった。

「まったく、しょうがないんだから!」

しびれを切らしたひめは、ドアをドンドンと叩きながら、部屋の中へ向かって大きな声で呼びかけた。

「ナマケルダ!朝よ!まだ起きていないのは分かっているんだから!遅刻しても知らないわよ!」

するとしばらくして、ドタバタと物音がして、ガチャッとドアが開き、ぼさぼさの髪とシャツとパンツ姿の男が出てきた。彼の名前は生瀬。彼はかつて幻影帝国の幹部ナマケルダだった。

「うるさいですぞ、キュアプリンセス。それに私はもうナマケルダではないですぞ。その名前で呼ばれると、ご近所に白い目で見られるから、いい加減やめてくれませんか」

「あ、ごめん、生瀬さん。でもこれだけは言わせて!またそんな恰好で出てきて!私だって年頃の女の子なんだからね!それに、今はキュアプリンセスじゃないわよ!」

「ああ、そうでした。それでなんですか?こんなに朝早く?」

「朝早くじゃないわよ!もう何時だと思ってるの?会社に遅刻するわよ!」

「え?わっもうこんな時間!遅刻する!会社に行くのもめんどくさいですが、遅刻の言い訳を考えるのももっとめんどくさいですぞ!」

「だから、早く支度なさい。何度も私にこんなことさせるんじゃないわよ。まったくしょうがないんだから!」

生瀬は慌てて部屋に戻り、また何やらドタバタ物音がして、よれよれのワイシャツによれよれのネクタイ、よれよれの背広を羽織って、部屋から出てきた。

「なんとか間に合いそうですぞ。ありがとう、キュアプリンセス」

「だから、今はキュアプリンセスじゃないって。ひめって呼んでくれていいって何度も言ってるでしょ。」

「でも、あなたは一国のお姫さまじゃないですか。しかも私はあなたの国を侵略していましたし」

「それはもう終わったことでしょ。それにもう生瀬さんに恨みはないし。」

「分かりました。では、ひめ、なんでこうほぼ毎日、私を起こしに来てくれるのですか?」

「それは、生瀬さんが心配だからよ」

「あなたに心配されることはないですぞ」

「それは、それは・・・・」

ひめは、少し口ごもった。

「あ、愛の結晶が生瀬さんに当たったからよ。ほら、生瀬さんが『プリキュアウィークリー』の増子さんに追いかけられた日のことを覚えてる?私、あの後、神様からもらった愛の結晶を高いところから投げたの。」

「ああ、そう言えば、何か当たったと思って足元を見たら、何か光るものを見つけて、拾いましたな。あれはあなたが投げたものでしたか。そしたらすぐにあなたが私の前に現れた。でも、なんでそんな大事なものを投げたのです?」

「それは、それは・・・」

ひめは真っ赤になった。

「その結晶が当たった人と友達になるって決めてたから!そしたら、たまたま増子さんから逃げていた生瀬さんに当たっちゃったの!」

「私と友達になりたい、ということですかな?」

「そうよ、何度も言わせないでよ!それに、私たちが敵同士だった時に、何度も戦ったし、私の成長を最後には認めてくれたから。。。。」

ひめは、ますます真っ赤になってうつむいてしまった。

「ほらほら、会社に遅刻するわよ!それにそんなよれよれな恰好をして!顔はまあまあイケメンなんだから、もっと服装に気をつけた方がいいわよ。まったくしょうがないんだから!」

「では、あなたに今度、コーディネートしてもらいますかな。あなたも急がないと遅刻しますぞ」

「う、うん。」

「それと、また私が遅刻しそうになったら、起こしに来てくれますかな?」

「わ、分かったわよ。でも、生瀬さんも大人なんだから、中学生に起こされるようなみっともないことから卒業した方がいいわよ。私も卒業したら国に帰っちゃうんだからね。まったくしょうがないんだから!」

ひめは真っ赤になりながら、学校の方へ走りだした。

生瀬は彼女の背中を、ポケットから取り出した愛の結晶を透かして、見送っていた。

「まったく、しょうがなく不器用なお姫さまですぞ」

<終わり>

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【5/20追記】

書きあげていた時は急いでいたので忘れてしまいましたが、このお話の元になったのは、これまでのお話でもお世話になっていた、ツイッターの絵師のフォロワーさんの「ナマひめ」絵です。この方のイラストは、単に「イラスト」にとどまらず、その奥にある「物語性」を感じさせてくれます。

2015年5月11日 (月)

ふたりにしか分からない「愛」がある - 「ハピネスチャージプリキュア!」アナザーストーリー -

ツイッターでお世話になっている絵師さんの同名のレドめぐ絵によせて。「わたしだけのかみさま」にかぶる部分もありますが、そこは目をつぶって下さい。

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目の前にいる少女は、俺がどんな攻撃をしてもくじけなかった。それどころか、世界中から祈りと愛を集めて、「フォーエバーラブリー」へと変身した。

俺は、その真っ白な崇高な姿におののいた。まさしく「愛の化身」だ。しかも、彼女は非常に強くなっている。

この時点で俺はほぼ「負け」を悟ったが、彼女のことをもっと知りたかった。でも、俺はその手段を知らない。だから、戦闘を続けた。

「愛は消えないよ。たとえそれが破れても、愛したことは心のどこかに残り続けるの」

俺がどんなに反論しても、彼女はそれを繰り返すだけ。

「あなたは優しいね。自分の星が滅んでも、ずっと思い続けているから」

違う、俺はただ地球が羨ましくて憎んでいただけだ。優しくなんかない。

「大丈夫だよ。愛することをあきらめないで。」

愛することをあきらめないでいられるのなら、それを教えてくれ、ラブリー!

「愛することに臆病にならないで。あなたにはゆるぎない愛があるから、それを信じて!」

彼女はふわりと俺を抱きしめた。抱きしめられたのに、あくまでもふわりと。

「俺は、もう一度愛することができるのか?」

「できるよ。あなたは優しい人。嫉妬することや憎むことができるということは、愛することができるということだよ。だから、もう一度、愛をはぐくんで」

そういえば、俺はブルーがミラージュとの愛を成就させたのにも嫉妬していた。お互いがお互いの愛を伝えあうことの素晴らしさを、俺はすっかり忘れてしまっていた。

抱きしめられた瞬間、俺の中に彼女の愛が一気に流れ込んできたと同時に、そんな自分の愚かさを一気に気づかされた。

「この星の復興に私ができることがあったら、なんでも協力するよ」

そう言って彼女はにっこりとほほ笑んだ。俺の中の戦意や敵意はきれいになくなっていた。

俺がこの先困難にぶつかったときは、彼女のこの笑顔を思い出すだろう。

俺は女神を見つけた。

<おわり>

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