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2015年9月22日 (火)

「ハピネスチャージプリキュア!」アフターストーリー1改訂版【わたしだけのかみさま】 ― レッド & 愛乃めぐみ ―

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俺はレッド。一応、「惑星レッド」という星を守護する精霊だ。人間には「神」とも呼ばれる。

惑星レッドは遠い過去には栄えていたが滅んでしまった。俺には「ブルー」という弟がいて、彼は「地球」を守護しているが、その地球の繁栄と「美しさ」に俺は次第に嫉妬し、「過ち」を犯してしまった。弟の「恋人」を操って地球を侵略し、さらには滅ぼそうとしたのだ。

ブルーはそれに対抗するために、その「愛」で世界中にプリキュアを誕生させ、俺が操る彼の恋人だった「クイーンミラージュ」の率いる「幻影帝国」と戦わせた。その戦いは一進一退だった。

世界中に数多あるプリキュアチームの中で最強だったのが「ハピネスチャージプリキュア」だった。その中心にいたのが「キュアラブリー」こと「愛乃めぐみ」という少女。俺が最も忌み嫌った「愛」の名前を頂くプリキュアだ。

ミラージュは俺が何度洗脳しようと試みても、ブルーのことを完全には諦め切れていなかった。ハピネスチャージプリキュアが幻影帝国に最終決戦を挑んだ時に、そこに真っ先に気づいたのがラブリーだった。ラブリーことめぐみは、ブルーに恋心を抱いていたようだが、ミラージュとブルーはお互いがお互いを必要としているということに気づいて、ミラージュを俺の洗脳から解き放ってしまった。

俺は焦った。しかし、同時にめぐみのことにも興味を持ち始めた。

めぐみは自分の幸せよりも、他人の幸せの方を極端に優先する傾向があった。だから、ミラージュとブルーが元の鞘に収まった時、彼女は喜びはしたが、数々の戦いの中で、彼女の中の何かが変わりつつあった。彼女は自分が「失恋」したことに気づいて、その感情の動き自体が初めての体験であり、それを制御できなくなっていた。俺はそこに付け入ることにした。

初めは彼女自身をミラージュのように操ろうとしたが、予想以上の意志の強さによりそれは失敗した。それは、彼女には幼馴染の「誠司」という心の支えがあったからだ。めぐみ自身は気づいていないようだったが、誠司は確実に幼馴染という関係を越えて、めぐみを愛している。俺は誠司の、めぐみを守りたくても守れない、自分の思いに気づいてくれない、という焦りを利用して、彼を操ることにした。

しかし、その計略もめぐみの「愛」の前に結果的に失敗に終わった。俺は自暴自棄になって、惑星レッドを地球にぶつけて、ともに滅びようという作戦に出た。

一方で、あれだけ「愛」を忌み嫌っていたはずの俺が本当に渇望していたのは「愛」だった、ということに気づかされつつあった。それを体現しているのは、他でもないラブリーことめぐみだった。だから俺は、ラブリーに「俺を愛せ」と率直に告白した。

ラブリーは、俺のこんな歪んだ愛の形をも受け入れるような「フォーエバーラブリー」に進化した。その後の戦いは、自分でも敗れるということは分かっていた。しかし、しばらくは彼女と拳を交えながらも、語り合いたいと思った。こんな俺でも愛してくれる人間がいることが単純に嬉しかったのだ。結果的に俺は敗れて、惑星レッドも地球も救われた。

前置きが長くなってしまった。ラブリーことめぐみとの最終決戦の後、俺は、弟であるブルーと、彼の恋人(もう妻と言ってよい)ミラージュとともに、惑星レッドの復興に取り組んでいる。一度荒廃してしまった星を復興させるのはいばらの道だ。あと何百年、何千年、何万年かかるか分からない。時々絶望感に襲われることもある。そういう時に思い出すのが、めぐみの「愛」だ。

俺や弟は、鏡を使うことによって、自分の守護する星の様子を観察したり、行きたい場所へ移動することができる。復興に必要なものを地球から調達するために、その「力」をたびたび使うことがある。それ以外にも、俺のような「神」が、その力を使って、年頃の女の子の様子を観察するのは、本当は良いことではないことは分かっているが、めぐみのことが恋しくなった時には、彼女の様子を鏡を通して見ることがある。

めぐみは仲間と元気に暮らしているようだ。誠司のこともだんだんと意識し始めていることが分かる。それだけに、俺のめぐみへの思いも募っていくのだった。

めぐみと直接会って話がしたい。一度会えば、少しは自分の気持ちを鎮めることができる。連日の復興作業の疲れに加え、ブルー夫婦が自分の前で「いちゃついている」のも食傷気味だ。決めた。

今日は休日だし、めぐみが自分の部屋にいることは分かっていた。でも、いきなり現れるのは失礼だ。だから、鏡を通して呼びかけてみた。

「めぐみ、めぐみ」
「え、誰?どこから私を呼んでいるの?」
「ここだ。お前の部屋の姿見から呼んでいる」
「あっ、レッド!久しぶり!元気だった?今日はどうしたの?」

彼女はあの人懐っこい笑顔で次々と俺に質問をぶつけて来る。それだけでも俺は嬉しかったが、こっちに来いとは言ってくれない。当たり前だ。相手は年頃の女の子。男を簡単に部屋に入れることはできない。仕方がないので、こちらから申し出た。

「あ、あのな、めぐみ。言いにくいんだが、今からそっちへ行ってもいいか?」
「え、私と会いたかったの?だったら早く言ってくれればいいのに。遠慮しないでこっちにおいでよ。私だって直接会って話をしたいよ」
「本当にいいのか?普通の年頃の女の子は警戒するものだぞ」
「え?レッドに変な下心があるとは思えないよ。確かに悪いことをしたかもしれないけど、私はレッドがそんな悪人じゃないことを知ってる。だからおいでよ」

そんなことを言われて、「下心」のある俺は恥ずかしくなった。促されるまま俺は彼女の部屋の中へ入った。

「本当に久しぶりだね、レッド。鏡を通して見るより元気そうでよかった。また会えて本当に嬉しいよ。あ、立って話しているのもなんだから、ちょっとちらかっているけど、その辺に座って。あまりお構いできないけど、今、お茶とお菓子を持ってくるから」
「いや、お構いなく」

俺が言い終わるか終らないうちに、彼女はキッチンへ走って行った。

その間に、彼女の部屋の中を眺めてみる。女の子らしいと言えばそうだが、割りとこざっぱりした感じだ。すると、机の片隅に、ピンクの光るものを見つけた。思わず手に取ってしまった。それは、最終決戦の後、ブルーがハピネスチャージプリキュアの仲間たちに渡した「愛の結晶」だった。

めぐみは確か、自分に大切な人ができたらこれをあげる、と誠司に言っていた。誠司もそれに同意した。誠司にはめぐみが大切なのは明白だから、誠司はめぐみと交換したいと思っているはずだが、めぐみからそれを言いだすまで、まだ関係は進んでいないらしい。少しホッとすると同時に、そんなことを思った自分自身に驚いた。

「あ、レッド、それ」

キッチンから戻ってきためぐみが、慌てた様子で声をかける。はっと我に返る。

「す、すまない。これはブルーがめぐみたちに与えたものだろう?」
「そう、私の宝物。私がプリキュアだったことは、苦しいこともあったけど、大切な思い出。辛いことがあるとこれを見て、プリキュアだった私に乗り越えられない困難はないって、自分を奮い立たせることができるんだ」
「そうか」

その「思い出」の中には、ブルーへの恋も含まれているのだろうか。

「でも、そんなことに頼らなくてもいいくらい、私に誰か大切な人ができたら、その人にあげるんだ。でも、まだ本当に『大切』な人が誰かはまだ分からないんだ」
「そうか。そういう人が早く現れるといいな」

俺はめぐみの大切な人が誠司であることは分かっている。でも、そんなことを言うのは野暮だ。また、できればそれまでの時間が長くあって欲しいと、どこかで思っている。

「さあ、座って座って。惑星レッドのことをもっと聞かせて」

座るやいなや、めぐみは胡坐をかいた俺の膝の間に座って、もたれかかってきた。俺は少し慌てた。

「お、おい。無防備すぎるんじゃないか?」
「言ったでしょ、レッドに変な下心があるなんて思っていないって。それに、私は一人っ子だし、お父さんもほとんど家にいないから、あまりこうしてもらったことがないんだ。レッドは、私にとってお兄さんみたいなものだから、ちょっと甘えさせてよ」

それから、俺とめぐみはいろいろな話をした。でも、話したことを良く覚えていない。俺はめぐみの体温をじかに感じ、どこか上の空だった。

ただ、めぐみの顔を見ると、うっすらと目に隈ができているのに気付いた。それに少し眠そうだった。

「めぐみ、なんだか眠そうだけど、大丈夫か?目に隈ができている」
「あ、分かっちゃった?女の子なのに恥ずかしいよ。あのね、私たちもう受験生でしょ?ひめはブルースカイ王国に帰っちゃうみたいで寂しいけど、誠司とゆうゆうといおなちゃんは同じ高校を目指しているみたいで、私も一緒にそこへ入りたいんだ。だけど、プリキュアしてた時に、ブルーにも叱られたけど、私の成績は学年の下から数えた方が早いの。だから今、その分勉強を頑張らなくちゃいけなくて、毎晩遅くまで誠司と一緒に勉強してる。って言うか、一方的に私が教えられているんだけどね。誠司は教え方は上手いんだけど、なかなか厳しくて」

やっぱり誠司のことが大切なんだな、と俺はちょっと嫉妬した。するとめぐみは、ちょっとウトウトし始めた。

「おい、ちゃんとベッドで寝た方がいいんじゃないか?風邪をひくぞ。俺も帰るから」
「ううん、大丈夫だよ。久しぶりに会ったんだから、もうちょっとゆっくりしていってよ」

そう言い終わるやいなや、めぐみはすーっと寝息を立てて、俺の膝の間で眠ってしまった。

「おい、めぐみ、起きろ。ちゃんとベッドで寝なきゃ」
「うーん、もう少し、こうさせていて、お兄ちゃん。ううん、わたしだけのかみさま・・・」

寝言だが、そんなことを言われて、俺はドキッとした。そして、帰るタイミングを逃してしまった。まあいいか、誠司がここに来るまで、こうさせてもらおうか。

<終わり>

【この作品について】

以前掲載した作品に加筆・修正したものです。でも、この後のアフターストーリー2から4に比べて、それほど手を入れていません。私がこの作品を書こうと思ったのは、ツイッターでお世話になっていて、アンソロにも寄稿されている絵師さまの同名のイラストを見たことがきっかけでした。レッドの膝の間にちょこんと座って居眠りをしているめぐみと、どうしていいのか困り顔のレッドの表情が本当にかわいくて、それに刺激を受けたのでした。その時のイラストは単色でしたが、この作品を読んで下さった絵師さまが、フルカラーに仕上げて、私のブログに掲載することまで許可して下さいました。私を「レドめぐ」の世界に引っ張り込んだきっかけはこの絵師さまだと断言できます(笑)。

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