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2015年9月22日 (火)

「ハピネスチャージプリキュア!」アフターストーリー2改訂版【私の秘密】 ― 大森ゆうこ ―

2015年2月7日 土曜日 晴れ

私の名前は「大森ゆうこ」です。・・・なんて、自分の日記なのに自己紹介を書くのもなんだか変ね。だけど、これまで起きたことの総まとめをしたいから、このまま続けることにしよう。

改めまして、私の名前は「大森ゆうこ」です。私のおうちは、お弁当屋さんの「おおもりご飯」。自慢になっちゃうけど、ぴかりが丘で大人気なんだ。毎日たくさんのおいしいお弁当を作るお父さんと、それを盛り付ける優しいお母さん、そしてお姉ちゃんと一緒に暮らしている。あ、今は妖精の「ファンファン」も一緒ね。

そして私にはもう一つの「姿」がある。私はプリキュア「キュアハニー」に変身できる。その証が、これを書いている机の隅に置いてある「プリチェンミラー」と「プリカード」。ほんの一カ月前くらいまで、私はハニーとして、私の親友であるめぐみちゃん(ラブリー)、ひめちゃん(プリンセス)、いおなちゃん(フォーチュン)と、「ハピネスチャージプリキュア」というチームを組んで、一緒に幻影帝国と戦っていた。

いろんなことがあったけれど、私たちは平和を取り戻すことができた。最終的には、めぐみちゃんがその「ビッグな愛」で、幻影帝国の黒幕だった「レッド」という神様を救った。そんなことができたのは、直接的にはめぐみちゃん自身が「フォーエバーラブリー」に変身してすごく強くなったからだけど、世界中のプリキュアや世界中の人たちの大きくて温かい祈りがあったからだということも忘れてはいけない。

でも、今日書こうとしていることは、これまでの戦いのことではなくて、ずっと私の心の中で秘めていること。家族はもちろん、めぐみちゃんたちや、私たちのプリキュア活動を支えてくれた相楽くん、私をプリキュアにしてくれた神様、そしてそこで眠っているファンファンにも言えないこと。まだそういう人たちに話すことはできないけれど、私自身が忘れないためにも、世界が幻影帝国の脅威から解き放たれた今だからこそ書きとどめておきたいと思う。

私は、みんな、特にめぐみちゃんから「ほんわかしていて癒し系だね」とたびたび言われる。もちろん、それを聞いてうれしくないわけではないけれど、「本当はそんな子じゃないの!」と叫びたくなることがある。その理由は、私がプリキュアに選ばれるずっとずっと前のことから話さなければならない。

めぐみちゃんと相楽くん、そして私は、物心つくかつかないくらい頃からの幼なじみ。めぐみちゃんと相楽くんは、おうちがお隣同士で、赤ちゃんの時から兄妹のように育った。私はあとからお友達になったのだけれど、そのきっかけは、めぐみちゃんと相楽くんのお母さんたちが二人を連れてお店に来た時。

私は小さい頃すごい人見知りだった。二人に初めて会った時も、お母さんの後ろに隠れてもじもじしていたのだけれど、めぐみちゃんが「ゆうこちゃん、一緒に遊ぼ!」と私の手を引っ張って、相楽くんと一緒に公園に連れて行ってくれた。そこでどんな遊びをしたのかはもう忘れてしまったけれど、このことだけははっきりと覚えている。

それからは三人でよく遊ぶようになった。ただ「遊ぶ」とは言っても、まずめぐみちゃんが何かに興味を持ったら真っ先にそれに飛びついて、相楽くんがそのめぐみちゃんの危なかっしい行動をフォローするということの繰り返し。私はそんな二人の積極性にはついていけなくて、いつも少し離れたところからそれを見ている感じだった。でも、それがつまらないということでは決してなくて、むしろそれだけで楽しかった。

そんな関係に少しずつ変化が起きてきたのは、今思い返すと、私たちが小学校に上がるちょっと前だと思う。めぐみちゃんのお母さんはもともと体が弱かったのだけれど、その頃少し具合が悪くなって、めぐみちゃんはお母さんのお手伝いが忙しくなった。すると、相楽くんが急に空手を始めた(後から分かったことだけど、その道場はいおなちゃんのおうち)。

理由を聞くと、「強くなってめぐみちゃんのことを守りたい」ということだった。その時はまだ、その意味はよく分からなかったけれど、この時から相楽くんはめぐみちゃんのことを意識し始めていたんだと思う。

それからは、三人で遊ぶ時間が少しずつ減っていった。それでも、三人で会える時は一緒に遊んだ。でも、どこか私は寂しさを感じていた。それである時、公園に犬が捨てられているのを見つけて、その子を飼いたいと思った。

でも、私のおうちは食べ物を扱うお店。お父さんとお母さんに相談したけれど、うんと言ってくれなかった。それに、その犬もなかなか私に心を開いてくれなかった。だからどうしても、お父さんとお母さんに認めてもらいたくて、そして、その犬になついてもらいたくて、一生懸命、その子のためにごはんを作って毎日公園に運んだ。お父さんとお母さんは、すぐにあきらめると思っていたみたいだけど、私は頑張った。

ある日、その犬は私のごはんをきれいに食べてくれた。私はとってもうれしかった。お父さんとお母さんも、事ここに至って、私が全部世話をすることを条件に、やっと飼うことを許してくれた。私は、その新しいお友達を「デビット」と名付けた。それからのデビットとの生活は、前に日記に書いていた通り。

私は、早起きしてデビットを散歩させるのが日課になった。すると、相楽くんも毎朝同じ時間にジョギングしていて、よく会うようになった。相楽くんは朝ごはんの前にジョギングをしているので、おなかがへっているみたいだった。私は「おなかのへった誠司くんに何か上げられるものはないかな?」とお母さんに相談した。

お母さんからは「はちみつを使ったキャンディなんかどう?」とアドバイスをもらった。はちみつは私の大好物だし、仲良しの相楽くんのために何かできるのが嬉しくなった。作り方はお母さんから教えてもらったのだけれど、子どもの私でもできるようなシンプルなものだった。それでも初めは焦がしてしまったり、熱いキャンディ生地にやけどしたりして失敗した。でも、何度か挑戦するうちに上手にできるようになった。

自分でも納得できるようなものができるようになったある朝、私はそのキャンディをいくつか持って、デビットの散歩に出かけた。すると同じ時間に相楽くんと会えた。

いつもは挨拶くらいですれ違う程度だけれど、その朝は相楽くんを呼びとめた。びっくりした相楽くんに、私は「いつもおなかがへっているでしょ?朝ごはんの邪魔にならない程度におなかの足しになるものを用意してきたの。ちなみに私の手作り」と言ってキャンディを差し出した。

相楽くんは私の手からキャンディを受け取ると口に入れて、「おいしい!ゆうこちゃんは料理が上手なんだね」とほめてくれた。そして、「これ、売り物になるよ。お店のお弁当のおまけとしてお客さんに上げれば、喜んでくれるんじゃないかな」とすごいアドバイスをくれた。

私は家に帰ると、そのことをお父さんとお母さんに喜んで話した。そうしたら二人ともそれに賛成してくれて、このキャンディをお弁当を買ってくれるお客さんへのおまけとすることにした。お客さんにもこのキャンディは好評だった。私は、デビットの散歩とお店のお手伝いのほかに、キャンディを作るのも日課になった。しかもキャンディは、お店の売り上げにも少しは貢献するくらいになった。

私は、そんなアドバイスをくれた相楽くんのことを、だんだん意識してきたことが自分でも分かった。小学校に上がってからは、はっきりとこれが「初恋」だということに気づいてしまった。相楽くんはカッコいいし、勉強も運動もできるし、誰にでも優しくて、ほかの女の子にも人気があったけれど、やっぱりめぐみちゃんだけにしか目になかった。だから、それだけに私の「片思い」はだんだん苦しくなってきた。

しばらくは、自分の思いを抱えたまま、何もないふりをして、相楽くんやめぐみちゃんと接していた。でも、学年が上がるたびに、周りのみんなもいろいろとそわそわしてくる。私も自分の思いを伝えたいという気持ちがどんどんつのっていった。

そして今から四年前、この年は一生忘れられないと思う。

四年生三学期のバレンタインデーの前日、私は相楽くんのためにチョコレートを作った。その前から相楽くんにはチョコはあげていたけれど、それは「友達」としてのもの。だからめぐみちゃんにも同じようにあげていた。でもその年は作る意味が違った。そして当日、私は自分の思いを伝えようと思って、放課後に相楽くんを呼びとめた。

相楽くんがもういろんな女の子からチョコをもらっていたことは知っていた。でも、自分の思いを込めて「誠司くん、あのね、私・・・」そう言って渡そうとした時、間が悪いことにめぐみちゃんが「何してるの?」と私たちのところに来てしまった。

相楽くんは「ゆうこからチョコをもらったんだ」とめぐみちゃんに答えた。めぐみちゃんは「ゆうゆうの作ったお菓子はおいしいんだよね。あれ?今年は私にはくれないの?」って悪びれずに私に尋ねた。私は慌てて、「めぐみちゃん、ごめんね。作ったんだけれど、持ってくるの忘れちゃったんだ。明日持ってくるね」と苦しまぎれの言い訳をした。

すると相楽くんは「めぐみにもちょっと分けてやるよ」と言って、半分にして渡してしまった。

相楽くんとめぐみちゃんに「悪意」があったわけじゃない。相楽くんはまだ私の「告白」を聞いていないし、たぶん、毎年のことのように普通に仲の良い友達からもらったチョコだという認識しかなかったはず。それと、めぐみちゃんは、あまり人を疑うことをしないし、それにこう言ってしまってはなんだけど、こういうことにはかなり鈍い。私が相楽くんに好意を持っていたなんて、気がついていたとは思えない。

二人とも私のチョコを「おいしい」と言ってくれた。それはうれしかった。でも、失恋したことが分かってショックだった。相楽くんの「いちばん」はめぐみちゃんであって、私じゃない。そのことは前々から分かってはいたけれど、その現実を改めて突き付けられて、その晩は一晩中泣き明かしたことを覚えている。

翌日からは、私は「誠司くん」と呼ぶのをやめて「相楽くん」と呼ぶことにした。相楽くんは初めはけげんな顔をしていたけれど、いつの間にか私のことを「大森」と呼ぶようになった。でも、この火種はずっと私の心の奥底にくすぶり続けていた。

それからほどなくして、追い打ちをかけるようにデビットが急に死んでしまった。失恋のショックと重なって、しばらくは大好きなごはんものどを通らなかった。

そんな頃世界は、しばらく前から始まっていた幻影帝国の侵略が激しさを増していた。それを救えるのは「プリキュア」という戦士たちだけなのだけれど、かなり劣勢だということをニュースで聞いていた。ニュースでは、幻影帝国によって多くの農地が荒らされてしまって、多くの人たちが食べるものにも困っている、ということも伝えていた。めぐみちゃんのお父さんがそういう人たちの援助のために海外に赴任したのもちょうどその頃だった。

私たちの住むぴかりが丘にも、だんだんと侵略の跡が目立つようになってきた。ぴかりが丘最強とうたわれていた「キュアテンダー」も行方不明になったと聞いた。私は、「早くこの混乱が収まって、世界中の人たちがおなかいっぱいごはんを食べられますように」とずっと強く願っていた。

そんな時だった。いつものように星に願いをかけていた私のところに、何か赤く光るものが落ちてきた。それは、すぐにプリチェンミラーとプリカードに形を変えた。私は自分が「プリキュアに選ばれたんだ」とすぐに悟った。すると、部屋の姿見の中から男の人が出てきた。もちろん私はびっくりした。

男の人は「ブルー」という地球の神様だった。神様は私がプリキュアに選ばれたことを告げて、こう言った。

「人間が生きていく上でいちばん重要なのは食べることだ。また、その食べ物は多くの人たちの愛によって作られる。君はそのことをよく知っているからプリキュアに選ばれた。そしてその食べ物を得るためには、大地の力が必要不可欠だ。大地の力はそのまま地球の力だ。だから、君のプリキュアとしての力も大きなものになるだろう」

私は自信がなかったけれど、早くプリキュアになりたいと思った。いろいろなショックを戦うことで吹き飛ばして忘れたかった。でも、神様はこう続けた。

「でも、今は君の心がかなり乱れているね。原因は僕には分からないけれど、すごく疲れているのは分かる。こんな状態で戦うのは危険だ。それにまだ君は小さい。キュアテンダーの行方が分からなくなったけれど、他の地域のプリキュアが助勢に来てくれていて、ぴかりが丘はとりあえず守られている。それに僕の知らないプリキュアが戦っているらしい。だから、君がもう少し成長して、今の心の乱れが落ち着いてきたら、その時はお願いしようと思う。それまではこれは僕が預かっておくよ」

そう言って、神様は私のプリチェンミラーとプリカードを持って、姿見の中へ帰って行った。後から分かったことだけれど、神様の知らないプリキュアとは、「キュアフォーチュン」こといおなちゃんだった。テンダーはいおなちゃんのお姉さんで、いおなちゃんは四年前に敗れてしまったお姉さんの力を引き継いでプリキュアになった。いおなちゃんとは同級生だから、私はこの時にはなれなかったけど、いおなちゃんも五年生の時からプリキュア活動をしていた計算になる。

そんなことがあってからは、デビットが死んでしまってからやめていた朝の散歩を、ジョギングとして再開した。プリキュアとして一度は選ばれたのだから、神様が次に私にお願いしてくるまで、もっと強くなっておきたかったから。そして、朝の一瞬でも、ジョギングする相楽くんと言葉を交わしたかったから。

それからあっという間に三年が経って、中学一年の三月頃のこと。プリキュアと幻影帝国の戦いは一進一退のこう着状態だった。ぴかりが丘はキュアフォーチュンがなんとか守っていてくれていた。それに、「キュアプリンセス」というプリキュアも戦っているけれどちっとも勝てないらしい、といううわさを聞いていた。後から分かったことだけれど、それがひめちゃんだった。

私は、ジョギングをして、おなかをへらして、ごはんをいっぱい食べて、お店のお手伝いをするという毎日を過ごしていた。めぐみちゃんと相楽くんの関係については、チクッと心が痛むこともあるけれど、昔のように二人のことを少し離れて見ることができるようになった。「今でも相楽くんのことは好き。でも私が好きな相楽くんがめぐみちゃんと両想いになれますように」と願えるようになっていた。

そんなある日、再び神様が私の前に現れた。神様はこう言った。

「君はあれから三年でずいぶんと成長した。今こそ君にプリキュアになってもらいたい。ぴかりが丘ではキュアプリンセスが戦っているが、彼女自身の内面の問題で勝てないでいる。プリンセスには一緒に戦ってくれるパートナーが必要で、彼女にはそれを探すように言うつもりだ。君には、プリンセスと彼女のパートナーのチームに入ってサポートしてほしい。また戦闘だけじゃなく、個人的な相談にも乗ってやってほしい」

私は承諾して、プリチェンミラーとプリカードを神様から受け取った。そして、神様に促されて変身してみた。プリキュアとしての私の名前は私の大好きなはちみつから「キュアハニー」と決めていた。

初めての変身。覚悟を決めてミラーを開くと、目の前がパアーッと明るくなって、黄色く輝く不思議な空間が広がる。ミラーから「かわるんるん」と声がする。ミラーに映る私はまだ「大森ゆうこ」。でも、身体は既に黄色い光に包まれていて「プリキュア」に変わる準備はできているし、自分の気持ちも「素敵なプリキュアに変わりたい!変わるの!変われる!変わってみせる!・・・ああ・・変わっていく・・・!」という高揚感と開放感にあふれてくる。それと同時に不思議な力が身体の内側からみなぎってきて、ほてってくる。そのせつな、私のショートの髪が急激に長く伸びて黄色いポニーテールになる。この時点の私は「大森ゆうこ」じゃない、でもまだ「キュアハニー」でもない、とっても不思議な感覚。ほかの人には絶対内緒だけど(これはほかのメンバーにも言えない)、この変身呪文を唱えるまでの、言うならば「ハニーになりかけている」状態は、何と言ったらいいのか・・・うん、すごく気持ちいい!

そして、その気持ちよさにうっとりしそうになるのを何とかこらえながら(みんなと一緒に変身するようになったら、お互いの力が影響し合ってもっと気持ちよくなって、それを押し隠すのが大変だった)、カードをセットして「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」と叫んだ。明るい不思議な空間の中で、私は誰に教えられたわけでもないのに、プリキュアの力(コスチューム)を全身にまとうために、身体が勝手に動いて踊るように変身していく。身体は勝手に動くけれど、変身中はわりと意識はしっかりしている。だから、結構恥ずかしい格好やアクションをしていることも分かるのだけれど、そんなことが気にならないくらい気持ちが高ぶっていく。

その気持ちよさと高揚感が最高潮に達した時、手からバトンが生み出されて、変身が完了した。名乗りは「大地に実る命の光!」。そして、その高揚感の余韻が冷めやらないうちに、また身体が勝手に動いて、私は自分の新たな名前を叫んだ。「キュアハニー!」と。

すべてが終わった後、私は高ぶった気持ちと恥ずかしい気持ちが自分の中にうずまいてもだえそうになるのを必死にこらえながら、自分の姿を姿見に映してみた。そこには、私の知っている「大森ゆうこ」とは全く違う姿の人物が映っていた。私はプリキュアに変身した、変身できたことを改めて認識した。

変身中に気がついていたことではあるのだけれど、私にはほかのプリキュアとは違う特徴がある。普通のプリキュアはみんな左手に「ラブプリブレス」をしていて、それをたたいていろいろな技を出す。でも私にはそれがない。代わりにバトンを持っている。神様もそれには驚いたみたい。ただ、「ほかのプリキュアよりも強力な技が出せそうだね」と言ってくれた。その後、フォーチュンが「フォーチュンタンバリン」を持つことになったから、私のバトンと彼女のタンバリンが、私たち「ハピネスチャージプリキュア」のちょっとしたシンボルになった。

それに、自分でも信じられないくらい、気持ちが前向きになって明るい気分になっている。めぐみちゃんにも言われたことがある。「ゆうゆうはハニーに変身すると、すごく明るくなるね」って。多分、自分の中の「変わりたい。いつまでもくすぶってしまうような、こんなうじうじした性格からさよならしたい!」という気持ちが原動力になっているのだと思う。

それから、ふだんの私は、めぐみちゃんのように大声で歌うことはほとんどない。でも、ハニーにはテーマ曲「しあわせごはん愛のうた」がある。これはやっぱり私がハニーに変身して明るい気持ちになれるからこそ歌える曲。

この曲は、めぐみちゃんたちと一緒に戦うようになる前に何度か変身しているうちに、曲のイメージや歌詞が断片的に浮かんできていたのをまとめたもの。でも、部屋で「ゆうこ」の姿のままで考えていても全然まとまらなかったから、お姉ちゃんが部屋にいない時を見計らってこっそり変身して、その高ぶった気持ちを利用して、少しずつまとめていった。この時はまだ家族には自分がプリキュアだってことを内緒にしていたから、お姉ちゃんが部屋に入ってくる気配がしたら、慌てて変身を解いて、普通に勉強をしていたようなふりをしていたのだけれど、変身した時の気持ちの高ぶりがしばらく続いてしまって、それをお姉ちゃんに悟られないように抑えるのが大変だった。

神様からは自分がプリキュアであることは家族にも秘密にしておくようにと言われていた。でも私は、「しあわせごはん愛のうた」が完成したらすぐに家族に話してしまった。もちろんそれだけでは信じてもらえないから、家族の前で変身してみせた。私には「お店のお手伝いをする」という自分でもおろそかにしたくない大切な役割がある。私がプリキュア活動をすることで、その分家族には迷惑をかけるからだ。もちろん家族は驚いて、そんな危険なことをするなんて、と反対した。でも私は、「ごはんを食べるみんなの笑顔を守るために戦いたいの。これは私の大事な使命だと思っているから」と言って説得した。

そうは言っても、もともと私は争い事は嫌いだし、積極的に戦いをしかけるような性格でもない。だからしばらくは、お店の近くで戦闘があった時に、お店を守るためだけにこっそりと変身して戦っていた。

そんな時に、またお店の近くで戦闘があった。私がいつものように物陰に隠れて変身しようとしたら、お客さんたちが避難したお店の前で変身しようとしている二人の姿を見つけた。それがキュアラブリーことめぐみちゃんとキュアプリンセスことひめちゃんのコンビ、「ハピネスチャージプリキュア」だった。

私はプリンセスがひめちゃんだってことは知っていたけど、彼女のパートナーにめぐみちゃんが選ばれたことを知ってうれしかった。本当はすぐにでも仲間になりたかったけれど、なかなか言い出せなかった。神様にも打ち明けるタイミングを相談したけれど、「ゆうこが言い出せるタイミングはきっと来る。焦らなくてもいい」と言われてしまった。

ラブリーとプリンセスの「ハピネスチャージプリキュア」は、しばらくは快進撃を続けていた。でも、二人のことは気になって仕方がなかったから、いつも二人の後をこっそりつけていて、戦闘が始まるといつでも助けられるように変身して隠れて見守っていた。

私がハニーとしてラブリーとプリンセスの前に現れたのは、相楽くんの通う空手道場、つまりいおなちゃんのおうちが、サイアークに襲われた時。ラブリーとプリンセスがピンチになったし、何と言っても、相楽くんを助けたかったから。その時は「しあわせごはん愛のうた」を歌って帰っただけだけれど、翌日、学校中でこの歌がはやったのがきっかけになって、やっとめぐみちゃんとひめちゃんに私がハニーだということを打ち明けることができた。

仲間になってから起きたことは、これまでに日記に書いてきたとおり。苦しい戦いも多かったけれど、仲間と過ごす毎日がこれまで以上に楽しくなったことだけは確かだって言える。だから今日は、今まであまり書いてこなかったことを少し付け加えようと思う。

ハピネスチャージプリキュアがキュアフォーチュンこといおなちゃんを仲間に迎えて、ますます強くなっていった頃から、私は神様から世界中のプリキュアのサポートと相談に乗ってやってほしいと言われることが多くなった。「プリキュアにはかなり強い精神力が必要だ。負け続けているプリキュアには何か理由があるはずだから、話を聞いてやってほしい」ということだった。

プリキュアには神様から二つの厳しい「おきて」を言いつけられている。一つは、私が早々に破ってしまった、自分がプリキュアであることを秘密にすること。もう一つは「恋愛をしてはならない」ということだった。

「恋愛禁止」というおきては、神様自身の辛い思い出から生まれたもの。でもそれはかなり後になってから分かったことだし、しかも直接的には私たちハピネスチャージプリキュアしか知らなかったこと。

すべて終わった今だから話せることだけれど、相談に乗ったプリキュアの悩みのほとんどは、「プリキュア活動」と「恋愛禁止」のはざまで苦しんでいることだった。つまり、「自分の友達はみんな恋をしているのに私だけできない。私だって好きな人がいる。恋をしたい」と悩んでいた。

プリキュアだって一人の女の子。それにみんな年頃だし、恋をしたいと思うことはごくごく自然なこと。そんな気持ちを押し隠しせば、気持ちが不安定になって戦いに集中できなくなることは当然だと思う。

だから私は自分の経験を話した。「失恋はしたけれど、私の中には相楽くんのことを今でも思い続けている自分がいる。でも、その人を守りたいという気持ちが自分を強くしてくれている。そもそもプリキュアの力は『強い愛』から生まれるものだから、今はそういう状況ではないかもしれないけれど、ある人を好きになったりする気持ちは押し殺さなくてもいい。だから、そういう気持ちをかなえるためにも、早くこの幻影帝国との戦いを終わらそう」ってアドバイスをした。神様は見ていたかもしれないけど、その後に特に何も言われなかったから大丈夫だと思った。それに、一進一退だった幻影帝国との戦いがだんだんプリキュア側に優勢になっていったのも、手前みそにはなるけど、私がサポートと相談に乗るようになってからだと思う。

それからいくつかの戦いを経て、私たちは「イノセントフォーム」にも目覚め、ついに私たちはミラージュさんを解放した。ミラージュさんは神様への愛が忘れられなかったことを「レッド」という神様に付け込まれて、世界の侵略なんていうことをしちゃったけれど、三百年経ってやっと、お互いの気持ちが結ばれた。そして、今度はそのレッドという神様と戦うことになった。

でもその前に相楽くんがレッドさんに操られてしまった。私は失恋した時以上にショックだった。ただ、相楽くんがそうなってしまったのは、めぐみちゃんを守りたかったのに逆に今は守られている、という焦りがあったから。でも、私たちも相楽くんがいろいろと助けてくれていたことに甘えていた。人は、支え、支えられているという大事なことを忘れてしまっていたのは、人の幸せを願う「ハピネスチャージプリキュア」を名乗るには、失格だと言われても仕方がない。

でも、だからこそ、めぐみちゃんは相楽くんと真剣に向き合った。だから洗脳から解放することができた。私はちょっと嫉妬したけれど、もうその時には、自分の気持ちのうずきはなくなっていた。

レッドさんとの戦いは苦戦して、私自身も一度は封印されてしまった。めぐみちゃんも封印されそうになったけれど、それを相楽くんがかばったみたい。そのおかげでめぐみちゃんは「フォーエバーラブリー」になった。その姿は本当に神々しくて愛にあふれていた。そして、その大いなる愛でレッドさんの苦しみを解放することができた。

すべてが終わった後、私たちは神様から新しい「愛の結晶」をもらった。相楽くんとめぐみちゃんは、大切な人ができたらその人に渡す、と言っていたけど、もうあのアイコンタクトを見れば、お互いがお互いを大切に思い始めていることは一目りょう然。私自身も、自分の気持ちをごまかすために二人を応援しなくても、もう大丈夫だと思った。

私が愛の結晶を渡したいのは、一緒にごはんを食べたいと思えるような人だけど、まだそういう人は現れていない。でも、新しく私のそばにいてくれる「人」ができた。正確には「妖精」。かつて「プリキュアハンター・ファントム」として恐れられていた「ファンファン」だ。ファンファンはもともとのパートナーだったミラージュさんの元を離れて地球に残った。私にはパートナーの妖精がいなかったのでとてもうれしい。

私は家族にファンファンを紹介した。しかも、ファンファンはなぜか人間の姿になれる力が残っている。お父さんには警戒されているけれど、料理を教えてもらったりして、仲が悪いわけではないみたい。妖精の姿の時は、いつも私の頭の上に乗っている。甘えん坊さんなんだね。あのこわもてだったファントムだったなんて想像できないよ。

ファンファンは「いつかゆうこに『おいしい』と言ってもらえる料理を作る」と意気込んでいる。まだ手元がおぼつかないところがあるけど、きっと上手になるよ。そうしたら私にごちそうしてね。待ってるよ。

<終わり>

【この作品について】

ブログに掲載した作品に加筆・修正したものです。元々は自分の個人的な都合で二日分の日記ということにしていましたが、一本にまとめました。でも大幅な加筆の結果、日記にしては長すぎるものになってしまいました。

ハピプリでは、めぐみと同じくらいゆうゆうが好きでした。四人の中で「保護者」的な立ち回りをする役割でしたが、どうしてあの年齢であそこまで「達観」できるのか不思議でした。また、「癒し系」と公式で紹介されているわりには、「秘密・ミステリアス」な部分が多すぎて、今一つつかみどころのないキャラでもありました。でも、失恋経験があると言う衝撃的な告白が本編であってから、何か打ち明けたくても打ち明けられないような「悲しみ」をどこか抱えているのではないか、という思いが私の中でずっとくすぶっていました。結局、本編では何も語られませんでした。その代わりと言っては何ですが、最終回で、めぐみと誠司を一瞥してから去っていくゆうゆうの姿に、いろいろな想像(&妄想)が膨らんだ結果生まれたのがこの作品です。

大幅に加筆した部分は、ゆうゆうが初めて変身した時のことを振り返っている箇所です。ええ、私の「フェティシズム」が「てんこ盛り」です。でも、食べることが大好きで、いおなとはまた違ったベクトルで健康的なゆうゆうなら、そういうふうに「敏感に」感じることもあると思うのです。・・・はい、言い訳です。ごめんなさい。

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