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2015年9月22日 (火)

「ハピネスチャージプリキュア!」アフターストーリー3改訂版【まったくしょうがないんだから!】 ― 白雪ひめ & 生瀬(ナマケルダ) ―

「今日も~ぴかりが丘は~いいお天気~♪ 明日も~あさっても~いい天気だと~いいな~♪」

「心の歌」を口ずさむめぐみを先頭に、ひめ、ゆうこ、いおな、誠司の五人と、リボン、ぐらさん、ファンファンの三匹の妖精は、いつもの通学路を学校へと向かう。

すると急にひめが立ち止まった。

「あ、ちょっと先に行ってて」

すると、ポケットからキュアラインを取り出して電話をかけた。そして何度かコールしたのち、電話を切った。

「あ~!また出ない!もうこの時間だとやばやばいよ~!」
「ひめ、どこに電話したの?それにこの時間ならまだ遅刻しないよ?」
「まったくしょうがないんだから!ちょっと用事を思い出したから、めぐみ、みんなと一緒に先に学校に行ってて!」

ひめはそう言うやいなや、もと来た道へ踵を返して走り出してしまった。

「ちょっと、用事って何?ひめ、本当に遅刻しちゃうよ!」
「大丈夫!私が足の速いこと知ってるでしょ!」

ひめはあっという間に視界から消えてしまった。

「ひめ、最近たまにこういうことがあるよね。それに忘れ物でもないみたいなのに、通学の途中で用事を思い出すって変だよ」
「うふふ、ひめちゃん、頑張ってるなぁ~♪」

「ゆうゆう、ひめのことなんか知ってるの?」
「ゆうこ、ひめのこと何か知ってるの?」
「大森、ひめのこと何か知ってるのか?」
「ゆうこ、ひめのこと何か知ってるんですの?」
「ゆうこ、おひめちゃんのこと何か知ってるのか?」
「キュアハニー、キュアプリンセスのこと何か知ってるのか?」

同時に三人と三匹がゆうこに同じことを質問した。

「女の子には一つや二つ、秘密があるものなのです♪今日もごはんがおいしくなりそう♪」
「なによ~、ゆうゆう!教えてくれたっていいじゃない!」

そんなことを言いながら、ひめを除いた4人と3匹は学校に向かった。

一方、ひめは、息を切らしながら、少し古ぼけたアパートの一室のドアの前にたどり着いた。そして息を整えると、呼び鈴を鳴らした。しかし反応がない。何度も鳴らすのだが、それでも反応はなかった。

「まったく、しょうがないんだから!」

しびれを切らしたひめは、ドアをドンドンと叩きながら、部屋の中へ向かって大きな声で呼びかけた。

「ナマケルダ!朝よ!まだ起きていないのは分かっているんだから!遅刻しても知らないわよ!」

するとしばらくして、ドタバタと物音がして、ガチャッとドアが開き、ぼさぼさの髪とシャツとパンツ姿の、かなり長身の男が出てきた。彼の名前は生瀬。彼はかつての「幻影帝国」の幹部「ナマケルダ」だった。

「うるさいですぞ、キュアプリンセス。それに私はもうナマケルダではないですぞ。その名前で呼ばれると、ご近所に白い目で見られるから、いい加減やめてくれませんか?」
「あ、ごめん、生瀬さん。でもこれだけは言わせて!またそんな格好で出てきて!私だって年頃の女の子なんだからね!それに、今はキュアプリンセスじゃないわよ!」
「ああ、そうでした。それでなんですか?こんなに朝早く?」
「朝早くじゃないわよ!もう何時だと思ってるの?会社に遅刻するわよ!」
「え?わっもうこんな時間!遅刻する!会社に行くのもめんどくさいですが、遅刻の言い訳を考えるのももっとめんどくさいですぞ!」
「だから、早く支度なさい。何度も私にこんなことさせるんじゃないわよ。まったくしょうがないんだから!」

生瀬は慌てて部屋に戻り、また何やらドタバタ物音がして、よれよれのワイシャツによれよれのネクタイ、よれよれの背広をひっかけて、部屋から出てきた。

「なんとか間に合いそうですぞ。ありがとう、キュアプリンセス」
「だ・か・ら、今はキュアプリンセスじゃないって。ひめって呼んでくれていいって言ってるでしょ」
「でも、あなたは一国のお姫さまじゃないですか。しかも私はあなたの国を侵略していましたし」
「それはもう終わったことでしょ。それにもう生瀬さんに恨みはないし」
「分かりました。では、ひめ、なんでこうほぼ毎日、私を起こしに来てくれるのですか?」
「それは、生瀬さんが心配だからよ」
「あなたに心配されることはないですぞ」

「それは、それは・・・・」

ひめは、少し口ごもった。

「あ、『愛の結晶』が生瀬さんに当たったからよ。ほ、ほら、生瀬さんが『プリキュアウィークリー』の増子さんに追いかけられた日のことを覚えてる?私、あの後、神様からもらった愛の結晶を高いところから投げたの!」
「ああ、そう言えば、何か当たったと思って足元を見たら、何か光るものを見つけて、拾いましたな。するとキュアプリンセスに変身したあなたが私の前に現れた。ただあの時は、戦いでもないのにあなたが変身していた上に、何にも言わずに、しかもなぜか顔が真っ赤になってすぐに飛び去っていったから、私もちんぷんかんぷんでしたぞ。あれはあなたが投げたものでしたか。でも、なんでそんな大事なものを投げたのです?」

「それは、それは・・・」

ひめは真っ赤になった。

「その結晶が当たった人と友達になるって決めてたから!そしたら、たまたま増子さんから逃げていた生瀬さんに当たっちゃったの!」
「私と友達になりたい、ということですかな?」
「そうよ、何度も言わせないでよ!それに、私たちが敵同士だった時には何度も戦ったし、私の成長を最後には認めてくれたから・・・」

ひめは、ますます真っ赤になってうつむいてしまった。しかし、もじもじしている自分をごまかすように大声を出した。

「ほらほら、会社に遅刻するわよ!それにそんなよれよれな格好をして!顔はまあまあイケメンなんだから、もっと服装に気をつけた方がいいわよ。まったくしょうがないんだから!」
「では、あなたに今度、コーディネートしてもらいますかな。あなたも急がないと遅刻しますぞ」
「う、うん。」

ひめは、ますますしおらしくなってしまった。

「それと、また私が遅刻しそうになったら、起こしに来てくれますかな?」
「わ、分かったわよ。でも、生瀬さんも大人なんだから、中学生に起こされるようなみっともないことから卒業した方がいいわよ。私も卒業したらブルースカイ王国に帰っちゃうんだからね。まったくしょうがないんだから!」

ひめは真っ赤になりながら、学校の方へ走りだした。

生瀬は彼女の背中を、ポケットから取り出した愛の結晶を透かして見送っていた。

「まったく、しょうがなく不器用なお姫さまですぞ」

<終わり>

【この作品について】

ブログに掲載した作品に加筆・修正したものです。この作品も、絵師さまが描かれた「ナマひめ」作品「しょうがないんだから」にインスピレーションを受けて書きました。カップリングとしての「ナマひめ」はいちばん「実現性が高い」組み合わせだと思います。ひめはナマケルダ(生瀬)と敵同士だった時も彼の口癖をよく真似ていましたし(元々は声を当てていらした潘めぐみさんのアドリブだったそうですが)、ナマケルダこと生瀬は「ビジュアル系バンド」を組んでいた、と自分で言ってしまうほどイケメンですから、ひめが放っておくことはできないんじゃないでしょうか。その辺の考察については、次の作品のあとがきで。

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